2005年 12月 16日
リベンジは成るか ミルコ・クロコップvsマーク・ハント
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2004年12月31日、ミルコ・クロコップはリングの上にいた。対戦相手はケビン・ランデルマン。PRIDE GP1回戦で敗北を喫し、そのリベンジを果たすべく男祭りの舞台に立った。そして一年後の今年、2005年12月31日、そのミルコへ三年越しのリベンジを狙いマーク・ハントがリングに上がる。ミルコは一年前と正反対の立場、狙うものから狙われるものとなった。
三年前の戦いはK-1だったが、今回の舞台はPRIDE。当時と今では条件がかなり異なるが、今回の戦いを占う上で前回の戦いは参考になると思う。前回はフルラウンドを戦い、ミルコが判定でハントを下している。ダウンはハントが一度、ミルコが必殺の左ハイで奪ったものだ。しかし当時、そのシーンをテレビを見ていて何に驚いたかと言うと、ハントの頑丈さ。確か記憶が正しければ、カウント4で立ち上がっていたはず。そのラウンド中はダメージが残っていたようだったが、次のラウンドには完全に立ち直り、逆にやや押し気味に試合を進めていた。後半はミルコがハントのボディーブローでダメージを受けたのか、苦しそうな表情を浮かべていたのが印象に残っている。試合に勝ったのはミルコ。だが、受けたダメージでは…?
では、この試合を踏まえ、今回の試合を予想する。両者とも打撃が得意なストライカーではあるが、ここ最近の試合でミルコのスタンドの弱点は完全に暴かれてしまった。対策は「スタンドで圧力をかけ、蹴りを出す距離を潰す」、これに尽きる。先日のPRIDE30ではジョシュ・バーネットがこれを完璧に実行し、スタンドではバーネット有利・グラウンドではミルコ有利という事前の予想と逆転した展開を生み出した。もっとも、この対策は実行するに見合った実力を要求される。ミルコの力を考えると、誰でもが簡単に実行できるものではない。では、今回のハントはどうかという話になるが、ここで断言する。ハントならば必ず出来る。三年前の戦いでは、ハントが前に徐々に距離を詰めて圧力を掛け、ミルコが下がりながら機を見て反撃するという展開だった。ハントの恐ろしいほどの頑丈さとパワーを考えると、正面から打ち合えば明らかにハント有利であり、ミルコは下がることを余儀なくされるだろう。さらにK-1時代よりもミルコは打撃のコンビネーションや選択肢が減り、スタンドでの戦い方が単純化している。ヒョードル戦はここを突かれて敗北したわけだが、あれから4ヶ月、短期間では改善するのは難しい。ミルコはキックボクサーとしては、明らかに退化している。ハントにとっては左ハイという警戒するべき最大の武器があるが、逆に言えばそれさえ警戒しておけば問題無い。まるで鉄鉱石でも喰っているかのような頑丈さを生かし、やすやすと前に出て圧力を掛けてくるだろう。
しかし、話はこれで終わらない。今回の試合における三年前との最大の違いは、総合格闘技の試合であるということだ。ヒョードル戦・バーネット戦を見る限り、ミルコのグラウンド技術はかなり上達している。ファブリシオ・ヴェウドゥムという強力なパートナーがいる上、積み上げた練習量も相当なものと思われ、グラウンドにおいてミルコがハントに対し一日の長があるのは確実。だがハントからタップを奪うほどの技術を有するか、といわれれば疑問符が付くのも確か。ミルコが今まで練習してきたグラウンド技術というのは、タップを奪う「勝つための技術」では無く、タップを奪われずパウンドを受けないための「負けない技術」が中心だからだ。さらには体重差。ハントは20kg以上もミルコより重い。重心が低く重いハントをテイクダウンできるか、またミルコが上になったとして、そのポジションをキープできるのか。…ここで参考となるのがバーネット戦。この時はミルコがグラウンドでは主導権を握っていたが、バーネットはハントとほぼ同体重。この事を考えると、グラウンドでミルコが上になった場合、決め手に欠けつつも優位に試合を進める、と推測できる。
では最終的な結論だが、勝者をミルコと予想する。理由は…申し訳ない、実に個人的な理由、いや、理由にすらなっていないのだが「ミルコのファンを名乗る以上、ミルコの勝利を謳うのは当然のことだから」。どうか怒らないでいただきたい。だが、気になる点が一つある。ミルコが先日出したコメント「今のオレの武器は、それ(左ハイ)だけじゃない」という言葉。これは明らかにグラウンドを意識させる言葉だ。この言葉を見て思い出したのが、昨年の大晦日、対ケビン・ランデルマン戦。ミルコは左ハイによるKOを予告しながら、フロントチョークで秒殺という衝撃的なフィニッシュを飾った。最初からランデルマン対策としてフロントチョークを狙い、ミルコのKO予告はブラフだったのだろう。では、今回のミルコのコメントが意図するものは、何なのだろうか。単にグラウンドへの自信か、それとも何らかの策があるのだろうか。
ハントは言う。「私は今までリベンジマッチに一度も失敗したことがない。復讐は必ず完遂させてきた」。そしてこの試合に勝てば、ヒョードルの持つベルトへの挑戦が見える。片やミルコは、このような所で負けてはいられない。ハントのリベンジを退け、次に狙うは皇帝ヒョードルへの自らのリベンジ。玉座へと続く階段を上るのは、果たしてどちらか。
12月23日、追記。情報によるとミルコは「生まれ変わったようなスタンディングファイトをする」らしい。今から楽しみだ。
三年前の戦いはK-1だったが、今回の舞台はPRIDE。当時と今では条件がかなり異なるが、今回の戦いを占う上で前回の戦いは参考になると思う。前回はフルラウンドを戦い、ミルコが判定でハントを下している。ダウンはハントが一度、ミルコが必殺の左ハイで奪ったものだ。しかし当時、そのシーンをテレビを見ていて何に驚いたかと言うと、ハントの頑丈さ。確か記憶が正しければ、カウント4で立ち上がっていたはず。そのラウンド中はダメージが残っていたようだったが、次のラウンドには完全に立ち直り、逆にやや押し気味に試合を進めていた。後半はミルコがハントのボディーブローでダメージを受けたのか、苦しそうな表情を浮かべていたのが印象に残っている。試合に勝ったのはミルコ。だが、受けたダメージでは…?
では、この試合を踏まえ、今回の試合を予想する。両者とも打撃が得意なストライカーではあるが、ここ最近の試合でミルコのスタンドの弱点は完全に暴かれてしまった。対策は「スタンドで圧力をかけ、蹴りを出す距離を潰す」、これに尽きる。先日のPRIDE30ではジョシュ・バーネットがこれを完璧に実行し、スタンドではバーネット有利・グラウンドではミルコ有利という事前の予想と逆転した展開を生み出した。もっとも、この対策は実行するに見合った実力を要求される。ミルコの力を考えると、誰でもが簡単に実行できるものではない。では、今回のハントはどうかという話になるが、ここで断言する。ハントならば必ず出来る。三年前の戦いでは、ハントが前に徐々に距離を詰めて圧力を掛け、ミルコが下がりながら機を見て反撃するという展開だった。ハントの恐ろしいほどの頑丈さとパワーを考えると、正面から打ち合えば明らかにハント有利であり、ミルコは下がることを余儀なくされるだろう。さらにK-1時代よりもミルコは打撃のコンビネーションや選択肢が減り、スタンドでの戦い方が単純化している。ヒョードル戦はここを突かれて敗北したわけだが、あれから4ヶ月、短期間では改善するのは難しい。ミルコはキックボクサーとしては、明らかに退化している。ハントにとっては左ハイという警戒するべき最大の武器があるが、逆に言えばそれさえ警戒しておけば問題無い。まるで鉄鉱石でも喰っているかのような頑丈さを生かし、やすやすと前に出て圧力を掛けてくるだろう。
しかし、話はこれで終わらない。今回の試合における三年前との最大の違いは、総合格闘技の試合であるということだ。ヒョードル戦・バーネット戦を見る限り、ミルコのグラウンド技術はかなり上達している。ファブリシオ・ヴェウドゥムという強力なパートナーがいる上、積み上げた練習量も相当なものと思われ、グラウンドにおいてミルコがハントに対し一日の長があるのは確実。だがハントからタップを奪うほどの技術を有するか、といわれれば疑問符が付くのも確か。ミルコが今まで練習してきたグラウンド技術というのは、タップを奪う「勝つための技術」では無く、タップを奪われずパウンドを受けないための「負けない技術」が中心だからだ。さらには体重差。ハントは20kg以上もミルコより重い。重心が低く重いハントをテイクダウンできるか、またミルコが上になったとして、そのポジションをキープできるのか。…ここで参考となるのがバーネット戦。この時はミルコがグラウンドでは主導権を握っていたが、バーネットはハントとほぼ同体重。この事を考えると、グラウンドでミルコが上になった場合、決め手に欠けつつも優位に試合を進める、と推測できる。
では最終的な結論だが、勝者をミルコと予想する。理由は…申し訳ない、実に個人的な理由、いや、理由にすらなっていないのだが「ミルコのファンを名乗る以上、ミルコの勝利を謳うのは当然のことだから」。どうか怒らないでいただきたい。だが、気になる点が一つある。ミルコが先日出したコメント「今のオレの武器は、それ(左ハイ)だけじゃない」という言葉。これは明らかにグラウンドを意識させる言葉だ。この言葉を見て思い出したのが、昨年の大晦日、対ケビン・ランデルマン戦。ミルコは左ハイによるKOを予告しながら、フロントチョークで秒殺という衝撃的なフィニッシュを飾った。最初からランデルマン対策としてフロントチョークを狙い、ミルコのKO予告はブラフだったのだろう。では、今回のミルコのコメントが意図するものは、何なのだろうか。単にグラウンドへの自信か、それとも何らかの策があるのだろうか。
ハントは言う。「私は今までリベンジマッチに一度も失敗したことがない。復讐は必ず完遂させてきた」。そしてこの試合に勝てば、ヒョードルの持つベルトへの挑戦が見える。片やミルコは、このような所で負けてはいられない。ハントのリベンジを退け、次に狙うは皇帝ヒョードルへの自らのリベンジ。玉座へと続く階段を上るのは、果たしてどちらか。
12月23日、追記。情報によるとミルコは「生まれ変わったようなスタンディングファイトをする」らしい。今から楽しみだ。
by moonemblem
| 2005-12-16 04:31
| PRIDE