2006年 06月 24日
格闘家に喧嘩を売ってはいけない
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今回の記事は、桜井速人が怪我をした事に絡めて書くつもりだったのだが、しばらく更新していない間にすっかり時期を逃してしまった。桜井が粗暴な土木作業員に路上で殴られて怪我をした件はマスコミの報道によって世間に知れ渡り、その上武士道の煽り映像でもしっかりネタとして使われたため、格闘技ファンならばご存知だろう。桜井はこの時に相手に敢えて殴らせて反撃しないという大人の対応をしたが、ではプロの格闘家が本気でストリートファイトを行えばどうなるのか。今回は実戦でプロの格闘家が戦った話。
私は以前、警備会社でアルバイトをしていたが、そこでアルバイト仲間から聞いた話。警備と言っても、定年後の年寄でもできる楽な仕事から現金輸送のような危険なものまで、様々な種類の仕事がある。私がお世話になっていたその警備会社は短期のイベントの警備や、施設に常駐して防犯・防災を行う常駐警備を主な仕事としていた。常駐と言っても分かりづらいかも知れないが、ショッピングセンター等にいるガードマンをイメージして貰うといい。
参考:Wikipedia 常駐警備
その会社が抱えていた物件の中に、「警備するのが大阪で最も難しい」と言われているビルがある。なぜ難しいかと言うと、周囲の環境が悪いことが原因として挙げられる。そのビルは娯楽施設として大阪市内にオープンしたのだが、時間が経つにつれて客足が減り、収益が悪化したテナントは次々と撤退し、まるでゴーストタウンのごとき様相を呈すようになった。そしてビルが建っているその近くでは、野宿しながら公園の炊き出しやゴミ漁りで生きているような人達が溢れているような環境が広がっており、治安が良いとは口が裂けても言えない。そうすると、そういった恵まれない人達が寝る場所を求めてビルに侵入してくるのは必然だ。晴れた日の日中ならば余り見る事は無いのだが、寒い季節や天候の悪い日となれば、過酷な環境で野宿するのを避けるため、進入して来る数が目に見えて増加する。ここまで書くと大阪在住の方は思い当たる節もあろうが、具体的な名前を出すと問題があるかも知れないので、ここは伏せさせて頂く。
さて、客が寄ってくるならば何ら問題は無いが、ビルに寄って来るのは浮浪者ばかりで、更に居座られたりしようものなら、営業上とてもよろしくない。ただでさえ客が来ないのに。従ってそのビルに勤務する警備員は、日常業務の中で連中を見つけたならば、さっさと追い出しにかかる。もちろん素直に言う事を聞いてくれれば全く問題は無いのだが、当然ながら中には簡単にはいかない連中がいる。浮浪者どもとしては快適な寝床を奪われるわけであるし、迷惑を掛けている意識も無いため、侵入や抵抗を繰り返す。中には警備員に対し暴力を振るう奴もいる。あるいは出て行く振りをして再び侵入する。追い出す側としては、毎日のように同じ事を繰り返す事に嫌気が差しつつも、仕事なので追い出す。そうしているうちに、警備員に対し浮浪者が逆恨みする。
自分はアルバイトという立場もあり、幸いなことにそのビルに勤務したことは無いのだが、あろうことか自分がバイト中に色々とお世話になったS氏が勤務中に襲われた。ビルが閉まって夜に建物の周囲を巡回していたところ、角材で武装した浮浪者の集団に闇討ちされ、袋叩きにされて病院に担ぎ込まれるという事件が発生。不幸中の幸いと言うべきか、大事には至らなかったのだが、当然ながら大問題となった。周囲の治安を考えるに再発の可能性は高く、これ以上の被害者を出すわけにはいかない。対策として考えられるのは夜間の増員だが、客が来なくて大赤字を垂れ流しているビルに、そんな余裕がある訳が無い。巡回の人間に装備を持たせ、武装しようにも限度がある。再度の襲撃を恐れて浮浪者を追い出すのを止めるわけにもいかないが、何の対策も立てずに放置するわけにもいかず、このままでは勤務している他の人間の士気にも影響する。そこで会社は考えた。
「浮浪者からの襲撃対策として、この男を使え」という言葉と共に、一人の新人がそのビルに配属された。会社の上からの指示としては、襲撃が予想される夜間の巡回にはその新人を充てるように、とのこと。結局、事前の見通しは正しく、赤字のビル側から増員の予算は下りなかった為、何らかの手段で自衛することになったらしい。本当に大丈夫なのかと危惧する声は上がったが(心配して当然だ)、会社の命令通りその新人を巡回に出向かせたところ、何日かしてやはり襲撃が再度起こった。だがその新人、角材で武装し暗がりから襲って来た浮浪者の集団を、たった一人で全員を相手に回し、約10人程もいた襲撃者をことごとくKOしてしまった。
浮浪者とは栄養状態の悪い人間がほとんどであるため、体も弱っている人間が多く、はっきり言って個人を見れば弱い。もっとも他人を襲うなどという行為を何度も実行するからには、浮浪者の中でも体力が必要以上に有り余っている連中ではあるのだろうし、中には本当に浮浪者かと言いたくなる様な体格のゴツイ奴もいる。また10人も群れた上に武装しているのだ、簡単に歯が立つ相手ではない。が、それをたった一人で叩きのめすとは、一体どのような人間なのか。そこで同僚が聞いてみたところ、その新人、プロのキックボクサーで日本ランキング3位の猛者だという。その話を聞いた時、周囲の人間は大きく納得したものだった。自分は以前に、法的には格闘技有段者の拳が凶器とみなされると聞いたことがあるが、プロの格闘家とはまさしく生きた凶器と言っても過言ではない。
桜井に喧嘩を売った土木作業員は、本当に運が良かった。これが桜井では無く、血の気が多くて素人相手でも喧嘩を簡単に買う様な格闘家だったとしたら(敢えて誰とは言わないが)、半殺しにされても文句は言えまい。この記事をお読みの皆さん、決して格闘家に喧嘩を売ることだけはしないように。もっとも、誤解の無いように言っておくが、格闘技をやっていない素人相手ならば喧嘩を売っても良いと言っている訳ではない。他人に喧嘩を売るなどという行為は、実に短絡的な行為であり、相手に勝った満足感などはすぐに過ぎ去ってしまう。そして後には残るのは、体の傷と後悔だけなのだから。
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私は以前、警備会社でアルバイトをしていたが、そこでアルバイト仲間から聞いた話。警備と言っても、定年後の年寄でもできる楽な仕事から現金輸送のような危険なものまで、様々な種類の仕事がある。私がお世話になっていたその警備会社は短期のイベントの警備や、施設に常駐して防犯・防災を行う常駐警備を主な仕事としていた。常駐と言っても分かりづらいかも知れないが、ショッピングセンター等にいるガードマンをイメージして貰うといい。
参考:Wikipedia 常駐警備
その会社が抱えていた物件の中に、「警備するのが大阪で最も難しい」と言われているビルがある。なぜ難しいかと言うと、周囲の環境が悪いことが原因として挙げられる。そのビルは娯楽施設として大阪市内にオープンしたのだが、時間が経つにつれて客足が減り、収益が悪化したテナントは次々と撤退し、まるでゴーストタウンのごとき様相を呈すようになった。そしてビルが建っているその近くでは、野宿しながら公園の炊き出しやゴミ漁りで生きているような人達が溢れているような環境が広がっており、治安が良いとは口が裂けても言えない。そうすると、そういった恵まれない人達が寝る場所を求めてビルに侵入してくるのは必然だ。晴れた日の日中ならば余り見る事は無いのだが、寒い季節や天候の悪い日となれば、過酷な環境で野宿するのを避けるため、進入して来る数が目に見えて増加する。ここまで書くと大阪在住の方は思い当たる節もあろうが、具体的な名前を出すと問題があるかも知れないので、ここは伏せさせて頂く。
さて、客が寄ってくるならば何ら問題は無いが、ビルに寄って来るのは浮浪者ばかりで、更に居座られたりしようものなら、営業上とてもよろしくない。ただでさえ客が来ないのに。従ってそのビルに勤務する警備員は、日常業務の中で連中を見つけたならば、さっさと追い出しにかかる。もちろん素直に言う事を聞いてくれれば全く問題は無いのだが、当然ながら中には簡単にはいかない連中がいる。浮浪者どもとしては快適な寝床を奪われるわけであるし、迷惑を掛けている意識も無いため、侵入や抵抗を繰り返す。中には警備員に対し暴力を振るう奴もいる。あるいは出て行く振りをして再び侵入する。追い出す側としては、毎日のように同じ事を繰り返す事に嫌気が差しつつも、仕事なので追い出す。そうしているうちに、警備員に対し浮浪者が逆恨みする。
自分はアルバイトという立場もあり、幸いなことにそのビルに勤務したことは無いのだが、あろうことか自分がバイト中に色々とお世話になったS氏が勤務中に襲われた。ビルが閉まって夜に建物の周囲を巡回していたところ、角材で武装した浮浪者の集団に闇討ちされ、袋叩きにされて病院に担ぎ込まれるという事件が発生。不幸中の幸いと言うべきか、大事には至らなかったのだが、当然ながら大問題となった。周囲の治安を考えるに再発の可能性は高く、これ以上の被害者を出すわけにはいかない。対策として考えられるのは夜間の増員だが、客が来なくて大赤字を垂れ流しているビルに、そんな余裕がある訳が無い。巡回の人間に装備を持たせ、武装しようにも限度がある。再度の襲撃を恐れて浮浪者を追い出すのを止めるわけにもいかないが、何の対策も立てずに放置するわけにもいかず、このままでは勤務している他の人間の士気にも影響する。そこで会社は考えた。
「浮浪者からの襲撃対策として、この男を使え」という言葉と共に、一人の新人がそのビルに配属された。会社の上からの指示としては、襲撃が予想される夜間の巡回にはその新人を充てるように、とのこと。結局、事前の見通しは正しく、赤字のビル側から増員の予算は下りなかった為、何らかの手段で自衛することになったらしい。本当に大丈夫なのかと危惧する声は上がったが(心配して当然だ)、会社の命令通りその新人を巡回に出向かせたところ、何日かしてやはり襲撃が再度起こった。だがその新人、角材で武装し暗がりから襲って来た浮浪者の集団を、たった一人で全員を相手に回し、約10人程もいた襲撃者をことごとくKOしてしまった。
浮浪者とは栄養状態の悪い人間がほとんどであるため、体も弱っている人間が多く、はっきり言って個人を見れば弱い。もっとも他人を襲うなどという行為を何度も実行するからには、浮浪者の中でも体力が必要以上に有り余っている連中ではあるのだろうし、中には本当に浮浪者かと言いたくなる様な体格のゴツイ奴もいる。また10人も群れた上に武装しているのだ、簡単に歯が立つ相手ではない。が、それをたった一人で叩きのめすとは、一体どのような人間なのか。そこで同僚が聞いてみたところ、その新人、プロのキックボクサーで日本ランキング3位の猛者だという。その話を聞いた時、周囲の人間は大きく納得したものだった。自分は以前に、法的には格闘技有段者の拳が凶器とみなされると聞いたことがあるが、プロの格闘家とはまさしく生きた凶器と言っても過言ではない。
桜井に喧嘩を売った土木作業員は、本当に運が良かった。これが桜井では無く、血の気が多くて素人相手でも喧嘩を簡単に買う様な格闘家だったとしたら(敢えて誰とは言わないが)、半殺しにされても文句は言えまい。この記事をお読みの皆さん、決して格闘家に喧嘩を売ることだけはしないように。もっとも、誤解の無いように言っておくが、格闘技をやっていない素人相手ならば喧嘩を売っても良いと言っている訳ではない。他人に喧嘩を売るなどという行為は、実に短絡的な行為であり、相手に勝った満足感などはすぐに過ぎ去ってしまう。そして後には残るのは、体の傷と後悔だけなのだから。
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by moonemblem
| 2006-06-24 19:23
| 雑記