2006年 01月 23日
2005年 煽り映像
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PRIDEの試合前に流れる煽り映像と言えば、ファンの評価も高く、もはや大会には欠かせない。単に選手を紹介するだけでは無く、インタビューや練習の映像を使い、選手の魅力や個性を上手く引き出し、会場を盛り上げるのに一役買っている。秀逸なキャッチコピーや効果的に使われる音楽などその評価は高く、一部のファンの間では「芸術の域に達している」との声もあるほど。今回の記事では、2005年に使われた映像で、自分が気に入ったものを5点選んで紹介する。
第5位 川尻 達也 VS キム・インソク
(PRIDE 武士道 -其の七-)
川尻のPRIDE参戦が決定した時、狂喜して周囲の人間に話しまくったが、反応は実に薄かった。それで、お前らそんなにメジャーな選手にしか興味ねえのかよ、と一人で腹を立てていた記憶がある。この試合の当日の会場も似たようなもので、入場時の客席の反応も薄く、VTRの中で「僕がいない所で勝手に軽量級世界一を決めて欲しく無い」「俺が出るからには、そうは簡単にいかない」と五味への対抗心を剥き出しにする川尻に対し「何だよこいつは」とでも言いたげな空気が漂っていた。にも係わらず、スクリーンの中で「いつも通り、ぶっ壊す」と自信に満ちた言葉を言い放つ川尻の姿に、俺は痺れた。
第4位 桜庭 和志 VS ユン・ドンシク
(PRIDE GRANDPRIX 2005 開幕戦)
この年の3月16日、島根県議会により「竹島の日」の制定に関する条例が可決・制定された。その直後、韓国では猛反発が起こり、反日デモや日本人への暴行事件が発生。そうした動きに対して、反感を持ったPRIDEファンも多いことだろう。この年のGPは、こうした状況での幕開けとなった。桜庭の対戦相手であるドンシクは、大会前からメディアなどで挑発的な言動を行い、「日本人には無条件で勝てる」と日本人への対抗意識を露骨に出していたため、この試合はファンのナショナリズムを巻き込んだ試合になるかと思われた。しかし桜庭はVTRの中で「僕ですか?宇宙人」とドンシクを食った発言をし、それを見た自分は胸の空く思いがした。例え周囲の状況がどうあれ、桜庭は常に桜庭だった。
第3位 美濃輪 育久 VS キモ
(PRIDE 武士道 -其の八-)
美濃輪の試合は、どれを取っても制作側が力を入れているが、自分が好きなのはこれ。美濃輪の天然ぶりが、遺憾なく発揮されている傑作。都会のビルの屋上で「自然の木とか、そこからエネルギーを得たいです」と言う、初っ端から突っ込みどころで始まる。今ではもはやお馴染みとなった、飛行機を追いかけて走ったり、小枝で木を突く映像など愉快なシーンが続々と現れ、突っ込みどころが満載。中でも最高なのが美濃輪の話。恐らく、映像を編集した人間が遊んでいるのだろうが、世界平和からキン肉マンの話へと脈絡も無く飛躍する。「モンゴルマンって知ってますか。あれのマスクっていうのが…」と、美濃輪が話している途中で、いきなり映像が切り替わる。ここで切るのか。ともかく、煽り映像といえばこの人。
第2位 PRIDE.30 オープニング
(PRIDE.30)
STARTING OVER=再出発と命名されたこの大会、オープニング映像には試合に敗北した選手達が映し出されるが、打ちひしがれるその姿には胸を打つものがある。「でもまたあの場所に行かなければならない気がする」その言葉と共に、桜庭が運転するアリーナへと向かう車は、再びリングで戦うために前進しようとするファイター達の姿の表れか。「でもここで、もう一度笑いたい」晴れ晴れとした笑顔を浮かべる桜庭とミルコが印象的だ。勇壮なオープニングではなく、格闘技には似つかわしくないかもしれないが、こういった静かに胸に染み入る映像もいいものだ。
第1位 エメリヤーエンコ・ヒョードル VS ミルコ・クロコップ
(PRIDE GRANDPRIX 2005 決勝戦)
ミルコを中心に据えて制作された、ヘビー級タイトルマッチの時のこのVTR、ミルコファンとしてはやはり1位はこれ以外には無い。ミルコの生い立ちから始まり、王座に挑戦するまでの道程を振り返るが、ファンとしてはそれを見るだけで感慨深いものがある。一方のヒョードルも、弟を左ハイで沈めるミルコに対し「やってくれたな」と吐き捨て、その凄みを覗かせる。また、このVTRは通常の煽り映像と異なり、ナレーションが一切入っていない。映像素材を繋ぎ合わせているだけで、ドキュメンタリー風に制作されているが、それゆえに映像に出てくる人たちの語る言葉に、常に無く重みが感じられる。その中でも特に印象深いのが、ミルコの母アナの台詞。「神様もあなたの願いを全部はかなえてくれないものよ」……何と意味深な言葉だろうか。まさか、訪れる結果を予見していたわけではあるまいが、今聞くとこの言葉はただの冗談ではなく、辛い道を辿って来た彼女達の人生観から導き出されたのではないか、とも思える。最後にミルコは呟く、「もうすぐ報われるはずだ」。そしてこの日、その言葉が実現されることは無かった。
完全に自分の趣味で選んだが、他にも良いものは沢山ある。絞り込むのが大変だった。もしこのブログを見られた方で、これはお勧めというものがあれば、是非教えていただきたい。
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第5位 川尻 達也 VS キム・インソク
(PRIDE 武士道 -其の七-)
川尻のPRIDE参戦が決定した時、狂喜して周囲の人間に話しまくったが、反応は実に薄かった。それで、お前らそんなにメジャーな選手にしか興味ねえのかよ、と一人で腹を立てていた記憶がある。この試合の当日の会場も似たようなもので、入場時の客席の反応も薄く、VTRの中で「僕がいない所で勝手に軽量級世界一を決めて欲しく無い」「俺が出るからには、そうは簡単にいかない」と五味への対抗心を剥き出しにする川尻に対し「何だよこいつは」とでも言いたげな空気が漂っていた。にも係わらず、スクリーンの中で「いつも通り、ぶっ壊す」と自信に満ちた言葉を言い放つ川尻の姿に、俺は痺れた。
第4位 桜庭 和志 VS ユン・ドンシク
(PRIDE GRANDPRIX 2005 開幕戦)
この年の3月16日、島根県議会により「竹島の日」の制定に関する条例が可決・制定された。その直後、韓国では猛反発が起こり、反日デモや日本人への暴行事件が発生。そうした動きに対して、反感を持ったPRIDEファンも多いことだろう。この年のGPは、こうした状況での幕開けとなった。桜庭の対戦相手であるドンシクは、大会前からメディアなどで挑発的な言動を行い、「日本人には無条件で勝てる」と日本人への対抗意識を露骨に出していたため、この試合はファンのナショナリズムを巻き込んだ試合になるかと思われた。しかし桜庭はVTRの中で「僕ですか?宇宙人」とドンシクを食った発言をし、それを見た自分は胸の空く思いがした。例え周囲の状況がどうあれ、桜庭は常に桜庭だった。
第3位 美濃輪 育久 VS キモ
(PRIDE 武士道 -其の八-)
美濃輪の試合は、どれを取っても制作側が力を入れているが、自分が好きなのはこれ。美濃輪の天然ぶりが、遺憾なく発揮されている傑作。都会のビルの屋上で「自然の木とか、そこからエネルギーを得たいです」と言う、初っ端から突っ込みどころで始まる。今ではもはやお馴染みとなった、飛行機を追いかけて走ったり、小枝で木を突く映像など愉快なシーンが続々と現れ、突っ込みどころが満載。中でも最高なのが美濃輪の話。恐らく、映像を編集した人間が遊んでいるのだろうが、世界平和からキン肉マンの話へと脈絡も無く飛躍する。「モンゴルマンって知ってますか。あれのマスクっていうのが…」と、美濃輪が話している途中で、いきなり映像が切り替わる。ここで切るのか。ともかく、煽り映像といえばこの人。
第2位 PRIDE.30 オープニング
(PRIDE.30)
STARTING OVER=再出発と命名されたこの大会、オープニング映像には試合に敗北した選手達が映し出されるが、打ちひしがれるその姿には胸を打つものがある。「でもまたあの場所に行かなければならない気がする」その言葉と共に、桜庭が運転するアリーナへと向かう車は、再びリングで戦うために前進しようとするファイター達の姿の表れか。「でもここで、もう一度笑いたい」晴れ晴れとした笑顔を浮かべる桜庭とミルコが印象的だ。勇壮なオープニングではなく、格闘技には似つかわしくないかもしれないが、こういった静かに胸に染み入る映像もいいものだ。
第1位 エメリヤーエンコ・ヒョードル VS ミルコ・クロコップ
(PRIDE GRANDPRIX 2005 決勝戦)
ミルコを中心に据えて制作された、ヘビー級タイトルマッチの時のこのVTR、ミルコファンとしてはやはり1位はこれ以外には無い。ミルコの生い立ちから始まり、王座に挑戦するまでの道程を振り返るが、ファンとしてはそれを見るだけで感慨深いものがある。一方のヒョードルも、弟を左ハイで沈めるミルコに対し「やってくれたな」と吐き捨て、その凄みを覗かせる。また、このVTRは通常の煽り映像と異なり、ナレーションが一切入っていない。映像素材を繋ぎ合わせているだけで、ドキュメンタリー風に制作されているが、それゆえに映像に出てくる人たちの語る言葉に、常に無く重みが感じられる。その中でも特に印象深いのが、ミルコの母アナの台詞。「神様もあなたの願いを全部はかなえてくれないものよ」……何と意味深な言葉だろうか。まさか、訪れる結果を予見していたわけではあるまいが、今聞くとこの言葉はただの冗談ではなく、辛い道を辿って来た彼女達の人生観から導き出されたのではないか、とも思える。最後にミルコは呟く、「もうすぐ報われるはずだ」。そしてこの日、その言葉が実現されることは無かった。
完全に自分の趣味で選んだが、他にも良いものは沢山ある。絞り込むのが大変だった。もしこのブログを見られた方で、これはお勧めというものがあれば、是非教えていただきたい。
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by moonemblem
| 2006-01-23 02:55
| PRIDE