2006年 06月 07日
PRIDE 武士道 -其の十一- 感想(上)
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第一試合
ジェイソン・ブラック ○-× オ・ウォンジン
1R 6分25秒 TKO セコンドタオル投入
開始直後からお互いに力の入ったいいファイトを見せてくれた。最初のブラックのテイクダウン、体をスイングさせながら引き込んで有利なポジションに付く動き、これが実に滑らかで上手さを感じさせる。その後のチョークは完全に極まっていたはずなのだが、ウォンジンが外したのは完全に力ずくだろう。パワーを生かして強引に隙間を作って脱出している。ただその後に失速したことを見ると、やはりかなり無理をしていたようだ……と言うか、あんな事を平然とされたのでは、チョークを掛けているブラックとっては堪らないだろう。この序盤の攻防で力を使い果たしたか、両者共にかなり疲労した様子。特にウォンジンの失速が激しかったが、それでも前に出ようとする姿勢を失わず、精神的に強いところが見て取れる。実力的にはトップから一枚も二枚も落ちる選手だとは思うが、全力を振り絞った素晴らしい戦いだったと思う。
第二試合
アマール・スロエフ ○-× ムリーロ・ブスタマンチ
判定3-0
リスター戦の再現を見ているような気分になったこの試合、スロエフが徹底的にグラウンドを避けるのは分かっていたが、それにしても一度もテイクダウンを許さなかったのは予想外。スロエフはタックルを切るのは確かに上手いが、他に同じような戦術を採る打撃系の選手と異なり、スタンドでも積極的に仕掛けていかないのが大きな違いだ。以前のフィリオ戦を見ても寝かされれば何も出来ないのは分かっているので、尚更リスクを回避するためにスタンドでも慎重な戦いをするのだろうが、これではファンの支持は得られない。グラウンドで膠着した戦いをする選手というのは存在するが、スタンドで膠着した戦いをする選手が出てきたとなると、DSEとしては扱いに頭を悩ませるところか。以前に「膠着大王」の不名誉な称号を与えられたガイ・メッツァーは、ファンや主催者の意向を受け、アグレッシブなファイトスタイルへと転換した。スロエフの場合はどうなるのか、今後の試合に注目したい。
第三試合
パウロ・フィリオ ○-× グレゴリー・ブーシェラゲム
判定3-0
やはり両選手の間にはかなり実力差があったが、フィリオは一本・KOを奪うことは出来なかった。優勝候補としては判定ではなく、すっきりとした形で試合を決めて欲しかったのが正直なところだが、ブーシェラゲムがあそこまでガチガチに守っていては、フィリオが苦労するのも理解できる。フィリオは1Rにマウントを奪った時点で、パウンドで勝負を決める心算だったはずで、特に一度シザースで逃げられた後の二度目のマウント、ここで120発以上のパウンドを出している。フィリオとしてはこの攻勢を凌がれ、その後のブーシェラゲムに消耗の気配が見えなかったことから、KO狙いから慎重な試合運びに切り替えたのではないかと思っている。だが逆に言うと、フィリオは120発以上もパウンドを出しながら決定的なダメージを与えることが出来なかった訳で、ブーシェラゲムが打たれ強い選手であったとしても、これは明らかにフィリオにとって反省するべき点だ。フィリオは単調にパウンドを出すだけではなく、色々な形で揺さぶりを掛けるなど、パウンドを効果的に引き立たせる方法を身に付けて貰いたい。
第四試合
長南 亮 ○-× ジョーイ・ヴィラセニョール
判定2-1
ヴィラセニョールは先日のDEEPの試合と違い、大振りなパンチが鳴りを潜めていたので、この点に関しては良かったのだが、一転して守りに入ったときに余裕が無さすぎる。特にグラウンドで下になった時の対応が問題。攻撃型の選手なので有る程度は仕方ないのだろうが、それにしては1Rでもっと積極的に攻めても良かったのではないか。もっとも、これは長南にも言える事ではあるが。1Rではお互いに相手を警戒してか、なかなか踏み込んで行かなかったが、2Rで見せた積極的な姿勢をもっと早い時間から見せて欲しかった。結果はスプリットとなったが、ヴィラセニョールの防御の対応のまずさを考えると、早い時間から攻勢を行えば長南が押し切ることも出来たのではないかとも思う。長南は守りに回った時の踏ん張りが利くようになったと思うが、ヴィラセニョール相手にこの内容では、2nd以降の活躍は厳しいかも知れない。
第五試合
ゲガール・ムサシ ○-× 瀧本 誠
1R 5分36秒 TKO ドクターストップ
瀧本が組み付いてから足でテイクダウンを奪うまでは、事前に書いた予想通りの展開。が、予想通りだったのはここまで。ムサシが極まったと思われた腕十字を外したシーン、あれは腕が返ってないため、あれでは極まらない。瀧本がグラウンドで極めが弱いのは、この辺りの細かい部分で詰めが甘い所為ではないだろうか。その後は見るも無残な展開。まだ若干20歳のストライカーに対して、バックを取られた上で完全にコントロールされ、何も出来なかった。もはや金メダリストとして持っていた幻想は地平線の彼方に消え去り、格闘家としての商品価値は底を打った。ムサシのバランスが良く、足の利かせ方もボクシング出身とは思えないほど上手かった上、道着の着用も瀧本にとってはマイナスに作用した。だがこれらの要素を考えても、この日に瀧本がリング上で晒した姿は、ファンを幻滅させるに十分だ。主催者側としては今後の使い方が難しくなるだろう。私としては、金メダリストとしての矜持を捨て、DEEPあたりからやり直し、這い上がって来ることを望む。
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ジェイソン・ブラック ○-× オ・ウォンジン
1R 6分25秒 TKO セコンドタオル投入
開始直後からお互いに力の入ったいいファイトを見せてくれた。最初のブラックのテイクダウン、体をスイングさせながら引き込んで有利なポジションに付く動き、これが実に滑らかで上手さを感じさせる。その後のチョークは完全に極まっていたはずなのだが、ウォンジンが外したのは完全に力ずくだろう。パワーを生かして強引に隙間を作って脱出している。ただその後に失速したことを見ると、やはりかなり無理をしていたようだ……と言うか、あんな事を平然とされたのでは、チョークを掛けているブラックとっては堪らないだろう。この序盤の攻防で力を使い果たしたか、両者共にかなり疲労した様子。特にウォンジンの失速が激しかったが、それでも前に出ようとする姿勢を失わず、精神的に強いところが見て取れる。実力的にはトップから一枚も二枚も落ちる選手だとは思うが、全力を振り絞った素晴らしい戦いだったと思う。
第二試合
アマール・スロエフ ○-× ムリーロ・ブスタマンチ
判定3-0
リスター戦の再現を見ているような気分になったこの試合、スロエフが徹底的にグラウンドを避けるのは分かっていたが、それにしても一度もテイクダウンを許さなかったのは予想外。スロエフはタックルを切るのは確かに上手いが、他に同じような戦術を採る打撃系の選手と異なり、スタンドでも積極的に仕掛けていかないのが大きな違いだ。以前のフィリオ戦を見ても寝かされれば何も出来ないのは分かっているので、尚更リスクを回避するためにスタンドでも慎重な戦いをするのだろうが、これではファンの支持は得られない。グラウンドで膠着した戦いをする選手というのは存在するが、スタンドで膠着した戦いをする選手が出てきたとなると、DSEとしては扱いに頭を悩ませるところか。以前に「膠着大王」の不名誉な称号を与えられたガイ・メッツァーは、ファンや主催者の意向を受け、アグレッシブなファイトスタイルへと転換した。スロエフの場合はどうなるのか、今後の試合に注目したい。
第三試合
パウロ・フィリオ ○-× グレゴリー・ブーシェラゲム
判定3-0
やはり両選手の間にはかなり実力差があったが、フィリオは一本・KOを奪うことは出来なかった。優勝候補としては判定ではなく、すっきりとした形で試合を決めて欲しかったのが正直なところだが、ブーシェラゲムがあそこまでガチガチに守っていては、フィリオが苦労するのも理解できる。フィリオは1Rにマウントを奪った時点で、パウンドで勝負を決める心算だったはずで、特に一度シザースで逃げられた後の二度目のマウント、ここで120発以上のパウンドを出している。フィリオとしてはこの攻勢を凌がれ、その後のブーシェラゲムに消耗の気配が見えなかったことから、KO狙いから慎重な試合運びに切り替えたのではないかと思っている。だが逆に言うと、フィリオは120発以上もパウンドを出しながら決定的なダメージを与えることが出来なかった訳で、ブーシェラゲムが打たれ強い選手であったとしても、これは明らかにフィリオにとって反省するべき点だ。フィリオは単調にパウンドを出すだけではなく、色々な形で揺さぶりを掛けるなど、パウンドを効果的に引き立たせる方法を身に付けて貰いたい。
第四試合
長南 亮 ○-× ジョーイ・ヴィラセニョール
判定2-1
ヴィラセニョールは先日のDEEPの試合と違い、大振りなパンチが鳴りを潜めていたので、この点に関しては良かったのだが、一転して守りに入ったときに余裕が無さすぎる。特にグラウンドで下になった時の対応が問題。攻撃型の選手なので有る程度は仕方ないのだろうが、それにしては1Rでもっと積極的に攻めても良かったのではないか。もっとも、これは長南にも言える事ではあるが。1Rではお互いに相手を警戒してか、なかなか踏み込んで行かなかったが、2Rで見せた積極的な姿勢をもっと早い時間から見せて欲しかった。結果はスプリットとなったが、ヴィラセニョールの防御の対応のまずさを考えると、早い時間から攻勢を行えば長南が押し切ることも出来たのではないかとも思う。長南は守りに回った時の踏ん張りが利くようになったと思うが、ヴィラセニョール相手にこの内容では、2nd以降の活躍は厳しいかも知れない。
第五試合
ゲガール・ムサシ ○-× 瀧本 誠
1R 5分36秒 TKO ドクターストップ
瀧本が組み付いてから足でテイクダウンを奪うまでは、事前に書いた予想通りの展開。が、予想通りだったのはここまで。ムサシが極まったと思われた腕十字を外したシーン、あれは腕が返ってないため、あれでは極まらない。瀧本がグラウンドで極めが弱いのは、この辺りの細かい部分で詰めが甘い所為ではないだろうか。その後は見るも無残な展開。まだ若干20歳のストライカーに対して、バックを取られた上で完全にコントロールされ、何も出来なかった。もはや金メダリストとして持っていた幻想は地平線の彼方に消え去り、格闘家としての商品価値は底を打った。ムサシのバランスが良く、足の利かせ方もボクシング出身とは思えないほど上手かった上、道着の着用も瀧本にとってはマイナスに作用した。だがこれらの要素を考えても、この日に瀧本がリング上で晒した姿は、ファンを幻滅させるに十分だ。主催者側としては今後の使い方が難しくなるだろう。私としては、金メダリストとしての矜持を捨て、DEEPあたりからやり直し、這い上がって来ることを望む。
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by moonemblem
| 2006-06-07 20:26
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